EPIGRAsmと集英社ゲームズ

あっという間の2年間…

株式会社EPIGRAsmを設立して、少し早いですが、約2年が経ちます。楽しいと感じる時間は早く過ぎ去ると言いますが、まさにあっという間の2年間でした。これも、共に歩んでくださった皆さまのおかげだと感謝しております。

この2年間の仕事は、本当にどれもユニークで、新鮮で、スタッフの方々の思いに満ち溢れたプロジェクトばかりで、エキサイティングな日々の連続でした。

2021年を振り返る…株式会社EPIGRAsm設立!

まずは初年度、前職を退職する間際、KENEI DESIGNこと葉山賢英さんにお声がけいただき、プロデュース参加することになった『ONI -空と風の哀歌-』。

ほぼ片手で収まる制作メンバーによって、だからこそ隅々まで思いのこもった浸透圧の高いコンテンツを作るというこの制作体験には、これまで経験してきた大規模開発とは全く違う醍醐味があり、大きな手応えを感じています。

そしてEPIGRAsmとして、ひょんなことからアドバイザーとして入らせていただくことになった、『集英社ゲームクリエイターズCAMP』。

人々の記憶に残るビッグコンテンツを多数生み出してきた集英社が、遂にゲームクリエイターを支援する。そんな取り組みに参加してみませんかとお誘いを受け、二つ返事でお願いしますとのめり込んだこのプロジェクトでは、運営メンバーの皆さんと日々喧々諤々の議論をし、インディーゲームの祭典、BitSummit THE 8th BITへの出展も果たし、さらにはオリジナルゲームコンテストであるGAME BBQ Vol.1で、多くのクリエイターの方々とお会いする機会もいただきました。

他にも、『Unityユースクリエイターカップ』で、今後を担う中高生ゲームクリエイターの作品を審査させていただいたり、大手スタジオの若手プロデューサーの面々とアイデアをぶつけあったり意見交換をさせていただける機会をいただくなど、本当にやり甲斐のある仕事ばかりでした。

そんな初年度の活動を振り返って、改めて独立して良かったと思う点が大きくは二つありました。

一つ目は、自分が面白いと思ったこと“だけ”を選んで取り組めるということ。

二つ目は、自分が面白いと思った人“だけ”と仕事ができるということ。

これは、サラリーマンクリエイター時代には味わい得なかった快感でした。 アドベンチャーゲームでは、自分に都合がいい選択肢ばかりチョイスしていると得てしてバッドエンドが待ち受けていたりもしますが、リアルライフは案外それくらい傲慢なほうがハッピーエンドに辿り着けるのかも……そんな感慨が湧いたことを思い出します。

激動の2022年…集英社ゲームズ爆誕!

そしてEPIGRAsmとして二期目に入った2022年3月、ここでまた僕の人生で大きな転機となる出来事がありました。

『集英社ゲームクリエイターズCAMP』でお世話になっている集英社が、本格的にゲーム事業に乗り出すべく、新会社を設立する。

その名も、“集英社ゲームズ”…!

僕の人生は、マンガと共にあったと言っても過言ではありません。自宅に、実家に、仕事場に、タブレットの中に、それぞれ何百冊ものマンガがあり、とりわけ、集英社のマンガをたぶん一番数多く読んできました。マンガだけではなく、かつての編集者の方が綴った書籍や、漫画家の方が紡いだ著作も山のように浴びてきました。小学生の頃から読んできたそれらマンガを、今では自分の子供たちが読み、逆に、僕の知らない新しいマンガを子供たちが教えてくれる。そんな、自分の血肉となっているコンテンツを生み出してきた集英社という会社が、僕自身が30年を超える時間戦ってきた「ゲーム」という魔物に挑もうとしている。

お誘いをいただいたときは、少しだけ迷いもありました。何といっても、自分で会社を立ち上げたばかりで、まだ1年も経っていない。そもそも、長年大きな組織で仕事をしてきて、また組織で仕事をする気がなかったというのも大きい。

だけどお話を聞くうちに、気付いたのです。

独立して良かったと思えた二点の美味しさを、そのまま集英社ゲームズでも味わえそうだ、ということに。自分が面白いと思う企画を、自分が面白いと思う人たちと最短距離で作っていけそうだ、ということに。

EPIGRAsmを設立したときの覚悟をこの新たなチャレンジにぶつけることができれば、とてつもなく楽しいことになるのでは…という予感に満ち溢れるようになりました。

そしてその予感はズバリ的中することになります。

2022年、たくさんのクリエイターや頼もしい仲間と出会い、集英社ゲームズの一員として、BitSummit X-Roadsを皮切りに、ドイツのケルンで開催されたGamescom2022、3年ぶりのリアル開催となった東京ゲームショウ2022、そして、集英社コンテンツの祭典、ジャンプフェスタ2022と、多くの場でお客様と直に接する機会をいただき、これまで以上に充実した一年を過ごさせていただくことになりました。 組織のなかでの振舞いや、プロジェクトの進退に関する決断など、重い場面とも幾度となくめぐり逢いましたが、しかしそのどれもが、個人会社では得られることのない体験であり、かつ、相対的に個人としてのフィールドも持っているからこそ感じる面白さもあって、本当に濃密な一年間をいただいたと感謝しております(2022年の活動については、メディア様の記事をNewsにまとめました)。

そして伝説へ…!

色々な場でお話をさせていただいておりますが、日本のゲームシーンは、今、大きな過渡期にあると思います。クオリティを担保するためには莫大なお金が掛かり、お金を掛けると日本国内だけで回収するのは難しくなる。それを見越してグローバルを意識すると、日本人特有のクリエイティビティが削がれる可能性も高くなる。

勢い若いクリエイターほど打席が回るチャンスは少なくなり、加えて、ドメスティックさを訴求力に変換し海外に向けてアピールするメソッドには薄い。

この状況を打破すべく、尖った角を尖ったまま、強い芯を強いまま世界に届け、ビジネスとしてもハッピーな結果をもたらすためには、大きな組織力と、日本人のクリエイティビティを信じ切る組織カルチャーが必要だと感じています。

2022年の活動を通して確信しましたが、集英社ゲームズには、その両方が揃っています。現在進行形で自分が踊ってきたマンガ、その表現発露の方法論と、現在進行形で自分が取り組んできたゲーム制作、そのノウハウが一つになった先に、きっと、自分自身が震え、ユーザーの皆さんに楽しんでいただけるゲームコンテンツがある。

そんな予感をまた確信に変えるべく、集英社ゲームズでの活動をメインとしながらも、EPIGRAsmマインドも忘れずに、2023年も邁進していきたいと思います。

引き続き、どうぞ株式会社集英社ゲームズと株式会社EPIGRAsmをよろしくお願い致します!